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「私たちはいつでも、新しい仲間を歓迎します」CH1LLと、大阪のhardstyleシーンの育て方

「私たちはいつでも、新しい仲間を歓迎します」CH1LLと、大阪のhardstyleシーンの育て方

CH1LL / HARDER EVOLUTION

大阪で4つのハード系のイベントを主催するCH1LL。ビジネスとしてではなく、この音楽をもっと多くの人に届け、シーンを育てたい、という思いで活動を続けている。

心に残っている瞬間を尋ねると、CH1LLは今年5月10日、自身が主催するFlow of Euphoriaの夜の話を始めた。セットの終盤、彼はもう一曲、Refuzionの『Don't Care』をかけた。その瞬間、フロアが沸いた。

イベントの終盤、アンコールで一曲かけて、セットを少し延長したんです。バックステージに戻っていたWav3motionが、一緒にいたK1loとステージに戻ってきて、二人がフロアと一緒に歌い始めました。その瞬間、場内が本当に盛り上がって。DJもフロアも同じエネルギーを分かち合えた、最高の瞬間でした。

CH1LL / HARDER EVOLUTION

それは、彼がプレイするたびに追い求めているものでもある。

僕が追い求めているのは、楽曲に深く入り込む陶酔感と、音楽やフロアの空間そのものと一体になるような感覚です。日常で嫌なことや辛いことがあっても、フロアにいるその瞬間だけは、そうしたことを忘れて、音楽に身を委ねながら心から楽しんでほしいと思っています。だからこそ、ただ盛り上がるだけではなく、聴く人の感情に訴えかけ、心を動かすようなハードスタイルを届けたいです。

出会いから、DJになるまで

CH1LLは大阪を拠点にするDJであり、オーガナイザーでもある。hardstyleに出会ったのは2013年、まだ高校生のときだった。当時遊んでいた音楽ゲームをきっかけに日本のレーベルHARDCORE TANO*Cを知り、USAOの「LiMiT」とMassive New Krewの「Yamato」で、この音楽に惹き込まれていく。その後はYouTubeでHeadhunterz、Da Tweekaz、Atmozfearsを追いかけ、のめり込んでいった。2017年ごろからは、その音を求めてクラブに通うようになる。だが、通うほどに、もどかしさも募っていった。

イベントに行っても、最近の楽曲や自分が聴きたい楽曲がなかなかかからないことにもどかしさを感じていました。そんなとき、友人から「それなら自分でDJをやってみたら?」とアドバイスをもらったことが転機になりました。

こうしてDJコントローラーを手に入れ、独学で練習を重ね、2019年にDJとしての活動を始めた。彼の軸はあくまでDJとそのセットであり、自身のプレイ用に、EDITやマッシュアップを作ることもある。

なぜ、euphoric hardstyleなのか

数あるharder stylesのなかで、彼が立ち返り続けるのがeuphoric hardstyleだ。惹かれる理由は、音そのものと、そこに集まる人々、その両方にある。

初めてMassive New Krewの「Yamato」を聴いたとき、キャッチーなメロディと心地よいコードの裏で、ハードスタイル特有のキックがピッチシフトしながら楽曲に絡み合っていく感覚に衝撃を受けました。それまでに味わったことのない感覚で、今でもずっとお気に入りの要素です。そして、もうひとつの魅力は、ハードスタイルがフェスティバルミュージックであることです。大勢の人たちと同じ音楽を共有し、ときには会場全体でメロディを合唱しながら盛り上がる。特にユーフォリックハードスタイルは、メロディの美しさや高揚感が主役だと思っています。

4つの夜

HARDER EVOLUTIONを立ち上げたのは、実はCH1LLではない。彼によれば、始めたのは東京のオーガナイザー、DefDistortionのHeraldだという。コロナ禍でほとんど姿を消していた大阪のhardstyleシーンを、もう一度つくり直すために立ち上げたイベントだった。CH1LLは第3回からその主催を引き継ぎ、今日まで続けてきた。

大阪のハードスタイルシーンは、まだまだ発展途上です。それでも、お客さんから「イベントを開催してくれてありがとう」という言葉をいただけることが、主催者として何よりも誇らしいですし、これからも開催を続けていこうと思える大きな原動力になっています。

CH1LL / HARDER EVOLUTION

彼はいま、4つのシリーズを、それぞれ役割を分けて運営している。最大規模のHARDER EVOLUTIONは、hardstyleを軸に、照明演出で屋内フェスのような空間をつくる。Flow of Euphoriaはeuphoric hardstyle専門で、普段は小規模ながら、海外ゲストを招くときは「HARDER EVOLUTION presents」として規模を拡大する。HARD TRIANGLEは、会場TRIANGLEの店長Kenseiと共同で手がけ、大阪の若手DJの育成に重きを置く。毎月第3土曜に開くRAVE PHASEは、パーティーであると同時に、ハードミュージック好きが集うコミュニティでもある。4つを抱えるのは、本心では多すぎるとも感じている。

正直なところ、運営するイベントをひとつに絞りたい気持ちもあります。ただ、ほかのオーガナイザーが育ち、シーンを支えられるようになるまでは、自分がその役割を担おうと思っています。ハードスタイルやHarder Stylesに触れるきっかけは、人それぞれだと思います。さまざまな入り口があることで、より多くの人にこの音楽の魅力が届くと考えています。

CH1LL / HARDER EVOLUTION

彼は、自分を形づくった存在についても率直だ。関西のシーンを築いた先輩世代の多くは、いまや別のジャンルに移るか、DJを離れてしまったという。いまのCH1LLをつくったのは、東京のDefDistortionのクルーと、大阪の「newÔrder」というパーティーだった。ジャンルもコンセプトも違うが、イベントの在り方やブランディングを間近で学べる、最高のお手本だったと振り返る。

シーンをどう見ているか

日本のhardstyleの現在地について、CH1LLの見方は率直だ。全国で見れば、人気は確実に伸びている。とりわけ東京では、DefDistortionが海外アーティストを継続的に招いてきたことで、シーンが大きく育った。今年はWorld DJ Festival JAPANのサブステージにも、hardstyleやhardcoreのトップアーティストが並び、多くのファンを集めた。一方で、東京を一歩出ると、状況は一筋縄ではいかない。彼が挙げる理由は二つある。ひとつは、そもそもの接点の少なさだ。

日本ではダンスミュージックに触れる機会そのものが、まだ少ないことです。フェスティバルやクラブイベントの数も限られているため、どこかで偶然この音楽に出会い、興味を持った人がイベントに足を運ぶ、というケースが多い印象です。もっと気軽にダンスミュージックに触れられる機会が増えれば、ハードスタイルに興味を持つ人も増えていくのではないかと思います。

もうひとつは、シーンとシーンのあいだの扉が、まだ十分に開かれていないことだ。日本にはHARDCORE TANO*Cを中心とした独自の大きなハードミュージックの世界があるにもかかわらず、隣り合うhardstyleのシーンとなかなか交わらない。東京では変わりつつあるものの、地方ではそれぞれが孤立したままだ。

もちろん、それぞれのシーンに独自の文化や魅力があるので、無理にひとつにまとめる必要はありません。ただ、互いの魅力を知るきっかけが増えれば、ハードミュージック全体がさらに盛り上がっていく可能性があると考えています。

地域ごとの空気の違いも感じている。彼の目には、関東はより真剣に、ストイックに音楽に向き合う人が多く映る。関西は夜全体をひとつのパーティーとして楽しみ、複数のジャンルを一晩に混ぜることも多い。どちらが良い悪いではなく、入り口の違いなのだと語る。

海外から呼ぶということ

海外のeuphoricアーティストを大阪に招くのは、いつも一つの賭けだ。そして難しさは、いつも同じところにある。集客である。日本の若い世代は、より激しく速いZaag系のrawstyleやuptempoへと傾きつつあり、euphoricの招聘は簡単ではない。それでも、彼はやめない。

やはり、一番の難しさは集客面ですね。現状、日本では海外のハードミュージック自体がまだマイナーで、アーティストの知名度も限られています。それでも海外アーティストを呼びたいのは、純粋に自分たちがそのアーティストの音楽を好きで、日本でもその音楽を体験できる機会を作りたいからです。僕たちはビジネスとしてイベントをやっているわけではないので、タイミングが合って、自分たちが本当に見たいアーティストで、なおかつ費用面でも現実的に実現できるのであれば、積極的に実現させたいと思っています。

どこから聴けばいい?

日本のhardstyleを初めて知る人に、あるいは海外の人に、何を知ってほしいか。彼の答えに迷いはない。イベントなら、2014年から続き、いまもシーンを牽引するDefDistortion。アーティストなら、すでに海外でも知られ、日本的な個性と高い完成度を誇り、精力的なリリースを続けるTatsunoshinだ。

開かれた扉

彼は、自身が関西最大規模と呼ぶHARDER EVOLUTIONの客層を、もっと広げていきたいと考えている。そして日本のeuphoricシーンも、ともに大きくしていきたい、と。一度も来たことのない人へ、何を伝えたいか。その答えは、「招待」だった。

日本では、まだハードスタイルという音楽ジャンルを知らない人の方が多いと思います。でも、一度聴いてみたら、その魅力にハマる人もきっとたくさんいるはずです。普段からハードスタイルを聴いているけれど、まだイベントに遊びに行ったことがないという方。最初は少し不安かもしれませんが、自分の好きな音楽を、同じ音楽が好きな仲間たちと一緒に歌ったり、腕を振り上げたりして楽しむ体験は、本当に最高です。ぜひ一度、実際にパーティーに足を運んでみてください。私たちはいつでも、新しい仲間を歓迎します!

CH1LL / HARDER EVOLUTION

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